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ホーム知られざる名曲>コルンゴルド 交響曲嬰へ調


 コルンゴルドの音楽には何かSF的なものを感じる。それもそのはず、彼は実際にハリウッドで映画音楽の製作に当たっていたのだ。つまり『スターウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』の作曲者ジョン・ウィリアムズの大先輩にあたる。すなわち彼の音楽がアメリカの映画音楽に似ているのではなく、アメリカの映画音楽が彼の影響を大きく受けているのだ。そして彼はドイツ人。ナチスに命を狙われてアメリカに亡命したのであった。そんな彼の音楽は明らかにドイツ音楽の流れを汲んでいる。

 上で書いたように、彼の音楽はアメリカの映画音楽の元祖的存在であり、この曲もそんな彼の音楽の特徴がよく出ている。ただこの曲に関してはそこまで言うほど派手ではなく、そのようなものを期待して聴くと多少期待はずれの感はあるかも知れない。そうは言ってもこの曲を聴いてると何か映画の一場面を思い浮かべそうなほどこの曲は雄弁で色彩感にあふれている。ちょっと重めの映画を見ているような感覚と言うべきだろうか。いずれにしてもドイツ音楽とアメリカ音楽が見事に融合した、非常に興味深い曲である。

 彼の歌曲がしばしばマーラーと一緒にカップリングされて売られている。確かにマーラーとよく合うのかもしれないし、3楽章の美しさはマーラーのアダージョ楽章に匹敵する(雰囲気はかなり暗いが)。そしてスケルツォ楽章があるのはブルックナーの影響だろうか?それを考えると近代のドイツ音楽が好きな方におすすめするのが妥当なところだろうか。音楽の形式はそれらよりもずっと古いものだが例えばベートーヴェンやブラームスが好きな人が聴いても近代的な転調(調があるだけましなのだが…)についていけないだろう。そのような人はそれなりの覚悟をしてから聴いた方がよい。

参考CD
アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団 1996年録音 DG